精神上の障害(知的障害・精神障害・認知症など)により判断能力が不十分な人が、不利益を受けないよう家庭裁判所に申立てをして、その方の助けをしてくれる人を選んでもらう制度です。
成年後見制度は、対象者の判断能力の度合いによって種類が分かれています。
この種類により代理人となる人の「できること」も違ってきます。
こんな時...成年後見の申立をすることで解決します
認知症の母を施設や老人ホームに入所させたいのですが、認知症の母を契約当事者にできないと言われました。どうしたらいいですか? |
老人施設に入っている叔母の費用を今まで立て替えて払ってきましたが、長期になると高額になるので、叔母の預金から支払うようにしたいと思います。どうしたらいいですか? |
遠方に体が不自由な父が一人で暮らしていますが、仕事があるのでなかなか行けません。先日、父が「預貯金の引き出しをヘルパーに頼んだら断られた」と電話してきました。どうしたらいいですか? |
認知症の父親名義の自宅を売って、そのお金を介護費用に充てようと考えていますが、不動産屋さんが「認知症の人が売主では売れない」と言ってきました。どうしたらいいですか? |
私は75歳で、夫は80歳です。私の死後、認知症の夫の財産管理やホームに入所するときの契約などはどうしたらいいですか? |
遠方に一人で住んでいる母が、訪問販売で200万円の布団を買わされてしまったようです。今後のことも含め、何かいい方法はありますか? |
今、自分は元気でしっかりと一人暮らしをしています。しかし、近くに親戚も親友もいません。将来、自分が認知症になったらどうしたらいいですか? |
近々、自分は老人ホームに入る予定になっていますが、知的障害のある子がいて、自分が死んだ後の子供の将来が心配です。いい方法はありますか? |
申し立ては? | 本人の住所地の家庭裁判所 |
誰が申し立てできるの? | 本人、配偶者、子・孫・兄弟などの四親等内親族、市町村長など |
誰が後見人に選任されるの? | 申立人が希望する候補者、または候補者以外で家庭裁判所が適任だと思われる方(弁護士・司法書士等) |
どんな書類が必要か? | 市区町村役場から取り寄せる書類 ※3か月以内に発行されたのものを1通づつ提出してください。 @申立人の戸籍謄本 A本人の戸籍謄本 B後見人等候補者の戸籍謄本 C本人の住民票 D後見人等候補者の住民票 本人の登記されていないことの証明書 診断書及び診断書附票 【次の書類は家庭裁判所で無料でもらえます】 ★申立書 ★申立書附票(1)<申立人照会書> ★申立書附票(2)<本人照会書> ★申立書附票(3)<後見人等候補者照会書> ★財産目録 財産や収支を裏付ける資料 (不動産登記簿謄本、預貯金通帳のコピー、各種資料のコピー) ★(本人の親族の)同意書 ★親族関係図 |
家庭裁判所への申し立て家庭裁判所への申し立て | |
※申立書類は上記のとおりです | |
家庭裁判所の調査官による事実の調査→家庭裁判所に電話をし予約をします。 |
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申立人、本人、成年後見人(保佐人、補助人)候補者が家庭裁判所に呼ばれて事情を聞かれます。 | |
精神鑑定 ※鑑定費用は5〜15万円 |
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家庭裁判所は、後見(保佐、補助)開始の審判をするためには、明らかにその必要があると認められる場合を除いて、本人の精神状況について医師その他適当な者に鑑定させます。 なお、補助開始の審判では原則的に診断書で足りますが、判断の判定が困難な場合、鑑定が行われることがあります。 |
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審判 | |
申立書に記載した成年後見人(保佐人、補助人)候補者がそのまま選任されることが多いですが、場合によっては家庭裁判所の判断によって弁護士や司法書士が選任されることもあります。 | |
審判の告知と通知 | |
裁判所から審判書謄本をもらいます。 | |
審判が通知されてから2週間は不服申立の期間となり、即時抗告がない場合は審判が確定します。 | |
審判が確定すると、家庭裁判所が東京法務局に審判の内容が登記されるよう嘱託します。 | |
東京法務局等で登記事項証明書が取得できます。 |
任意後見制度とは、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自ら選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。
任意後見人制度の流れ
今は元気なので何でも自分で決められるが、将来認知症になったときのことが心配だ | |
現時点では判断能力に問題のない方のみ利用できます。 | |
信頼できる人(家族・友人・弁護士・司法書士等の専門家)と任意後見契約を締結 | |
公証役場で公正証書を作成します。 東京法務局にその旨が登記されます。 |
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少し痴呆の症状がみられるようになった | |
家庭裁判所に申立て | |
家庭裁判所が選任した任意後見監督人が任意後見人の仕事をチェックします。 | |
任意後見人が任意後見契約で定められた仕事(財産の管理)を行います。 |
任意後見制度の費用
任意後見制度は必ず公証役場で公正証書を作成します。公正証書を作成する費用は下記のとおりです。
1.公正証書作成の基本手数料⇒1万1,000円
2.登記嘱託手数料⇒1,400円
3.登記所に納付する印紙代⇒4,000円
この他にも当事者に交付する正本等の証書代や登記嘱託書郵送代がかかります。
■任意後見制度の費用 1.公正証書作成の基本手数料⇒1万1,000円 2.登記嘱託手数料⇒1,400円 3.登記所に納付する印紙代⇒4,000円 |
任意後見制度のメリットデメリット
任意後見制度は、本人に判断能力の低下がなくても利用することができます。
任意後見制度のメリットとデメリットを見ておきましょう。
メリット | デメリット |
契約内容が登記されるので任意後見人の地位が公的に証明される | 本人の判断能力の低下前に契約できるが実際に管理はできない |
家庭裁判所で任意後見監督人が選出されるので任意後見人の仕事ぶりをチェックできる | 死後の処理を委任することができない。 |
法定後見制度のような取消権がない | |
財産管理委任契約に比べ迅速性に欠ける |
項目 | 報酬(税別) | 実費 | 備考 |
成年後見申立代行 | 45,800円〜 | 4,800円 | ご依頼内容により報酬が変動します ・その他郵送料等が必要となります。 |